「社会人にもなってもう長いのに、今さらIT系の資格を取ることなんてできるのかな」
「DXとかAIとか、若い人が使いこなしているのを見るたびに、置いていかれている気がする」
そんなふうに感じることはありませんか?
ITについて学びたいという社会人の方は、国家資格「基本情報技術者試験」の受験を検討してみてもいいかもしれません。
今回は、「一度、ITの基礎をちゃんと整理してみたい」「基本情報技術者試験って聞いたことあるけど、難しそう」と、基本情報技術者試験を考える社会人に向けて、「基本情報技術者試験」とは何か、をわかりやすくご紹介します。
最初に、なぜいま社会人に「ITリテラシー」が求められているのか

基本情報技術者試験の話をする前に、少し背景を整理しておきましょう。
ここ数年で、職場のあらゆる場面に「IT」が入り込んできました。経理も、総務も、営業も、紙とハンコでやっていた作業がクラウド上のシステムに置き換わり、社内の連絡はチャットツール、資料作成にはAIアシスタントが当たり前のように使われるようになっています。
いわゆる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の流れです。
ここで起きがちなのが、「使い方は教わったけれど、なぜそうなっているのかがわからない」という状態です。新しいシステムが導入されるたびに、操作だけを覚えて、その裏側の仕組みは「とりあえず触れていればいい」と素通りしてしまう。これが積み重なると、新しい変化があるたびに「またゼロから覚え直し」という疲労感につながります。
一つひとつの操作を覚えるのではなく、「ITというものが、どういう考え方で動いているのか」という土台を作る試験なのです。基本情報技術者試験の勉強を一通りしておけば、新しいツールや仕組みが出てきたときにも、「あ、これは前に勉強したあの考え方の応用だな」と、落ち着いて受け止められるようになります。
基本情報技術者試験ってどんな資格?
基本情報技術者試験(通称FE)は、経済産業省が認定する「情報処理技術者試験」という国家試験の一区分で、4段階あるレベルのうち「レベル2」に位置づけられています。レベル1には「ITパスポート」という、より入門的な試験があり、基本情報技術者試験はその一段上、「ITを使う側」から「ITの仕組みを理解している側」へのステップアップという位置づけです。
試験は「科目A」と「科目B」という2つの試験で構成されています。科目A(90分)は、コンピュータの仕組み、ネットワーク、データベース、セキュリティ、経営戦略やマネジメントの知識など、幅広い分野の知識を問う択一式の問題。科目B(100分)は、アルゴリズムやプログラミングの考え方を、疑似言語(プログラミング言語に似た記法)を使って問う問題が中心です。
「プログラミングの試験」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、特定のプログラミング言語を覚える必要はなく、「条件分岐」「繰り返し」といった、ものごとの手順を順番に整理する考え方が問われます。これは、業務のフローを整理したり、Excelの数式を組み立てたりする場面にも通じる、汎用的な「考え方の練習」とも言えます。
試験は2023年度から「通年試験」となり、現在はCBT方式(パソコンを使ったテストセンターでの受験)で、全国の会場から好きな日程を選んで受験できます。申込みは試験日の3日前まで可能なので、「自分の準備が整ったタイミングで受ける」というスケジュールの組みやすさも、社会人にとっては大きなメリットです。「基本情報技術者試験 試験日」を気にして予定を立てる必要が少ないのは、忙しい毎日を送る方にとってうれしいポイントです。
受験料は7,500円(税込)。一度払うと返金はできませんが、再受験をしたい場合は、受験翌日から30日後以降の日程を指定して申し込むことができます。
社会人が受ける基本情報技術者試験の難易度はどのくらい?
基本情報技術者試験の難易度については、「ITパスポートよりは難しいが、エンジニア向けの上位試験(応用情報技術者など)よりはやさしい」という位置づけです。
ITの実務経験がない方にとっては、科目Aの「専門用語の多さ」が最初の壁になりがちです。ただ、ここは暗記とパターン理解で対応できる部分が大きく、逆に科目Bの「考え方を問う問題」は、慣れてくると着実に得点が伸びやすい分野でもあります。
基本情報技術者試験は「事前の対策なしで受かる試験」ではありませんが、「正しい順序で勉強すれば、社会人でも十分に手が届く試験」だと言えるでしょう。
「基本情報技術者試験 勉強方法 初心者」社会人向けのステップ

ITの実務経験がない方が、ゼロから基本情報技術者試験に挑む場合、おすすめの進め方は次のような流れです。
全体像をつかむ
まずは、図解の多い入門書を1冊通読し、「ITの世界には、どんな分野があるのか」をざっくり把握します。「キタミ式イラストIT塾」のような、イラスト中心の参考書が初心者には人気です。
科目Aの用語・知識を定着させる
過去問を繰り返し解きながら、わからない用語を参考書で確認していく、というサイクルを回します。基本情報技術者試験の過去問は、IPAの公式サイトや「過去問道場」といった無料サイトでも数多く公開されており、独学でも十分に活用できます。
科目Bのアルゴリズムに慣れる
疑似言語の問題は、最初は読むだけで時間がかかりますが、「変数に何が入っているか」を一行ずつ書き出して追っていくトレーニングを重ねることで、徐々にスピードが上がっていきます。
本番形式で時間配分を確認する
模擬試験形式の問題集や、CBT形式に対応した問題演習サービスを使い、時間内に解き切る感覚をつかみます。
独学と講座を受講する方法、社会人が勉強する場合どっちがいい?
ちなみに、独学が向いているのは、「参考書や過去問を使って、自分のペースで進めたい」「コツコツ型の勉強が苦にならない」というタイプの方です。
一方で、「一人だと続けるのが難しい」「最初の全体像をつかむのに時間がかかってしまう」という方には、オンライン講座や通信講座を併用した方がいいでしょう。
基本情報技術者試験の勉強時間はどれくらい必要?1ヶ月で合格可能?
基本情報技術者試験の勉強時間の目安は、ITの実務経験がない方の場合、一般的に150〜200時間程度と言われています。1日1時間なら半年弱、1日2時間なら3ヶ月弱というイメージです。
1ヶ月での合格は、相応の覚悟が必要な「短期決戦型」になります。
平日1〜2時間、休日は3〜4時間といったペースで、毎日コツコツ続けられる方であれば、1ヶ月での合格も不可能ではありません。ただし、これは「すでに何らかの形でITに触れてきた方」が、知識を体系立てて整理するケースに当てはまることが多く、まったくの初心者が1ヶ月で仕上げるのは、かなり難易度が高いでしょう。
どんな社会人が基本情報技術者試験受験に向いている?
次に、基本情報技術者試験が特に向いている方の特徴をご紹介します。
- 職場でDXやシステム導入が進み、「内容を理解した上で会話に参加したい」と感じている方
- 部下や後輩から「これってどういう仕組みなんですか」と聞かれたときに、きちんと答えられる立場でいたい方
- 定年後や転職を見据えて、「IT」という分野で何かしらの土台を持っておきたい方
- 漠然とした「AI・IT時代への不安」を、具体的な知識で整理したい方
「今からIT資格なんて遅すぎる」と思う必要はありません。基本情報技術者試験には年齢の制限も、受験資格もなく、誰でも挑戦できます。むしろ、長年の社会人経験があるからこそ、「この仕組みは、あの業務のあの場面で使えそうだ」という実感を持ちながら学べるのは、若い世代にはない強みです。
ITの勉強は50代から始めても決して遅くはない!
まずは気軽に参考書を手に取り、「ITの世界には、こういう仕組みがあったのか」と知ることから始めてみましょう。ITの勉強は50代から始めても決して遅くはありません。



