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1986年発売の「写ルンです」が、今なぜ再ブーム?

現在は、簡単に写真が撮れる時代です。

スマホで撮れば即座に確認できて、気に入らなければ消せて、フィルターをかけて、SNSに上げられる。撮影という行為が、これほど簡単に、気軽にできるようになった時代に、「加工や修正はできない」「現像するまで見られない」カメラ、「写ルンです」が再ブームになっているのはなぜでしょうか?

「写ルンです」は、富士フイルムが1986年に発売した使い捨てフィルムカメラですが、30年以上の時を経た今、再び店頭から消えかけるほどの人気を博しています。

なぜ今、「写ルンです」なのか。本記事では、この再ブームの謎に迫ってみたいと思います。

目次

写ルンです。値段は? どこで買える?

まずは、「写ルンです」の基礎知識から確認しましょう。

読み方は「うつるんです」

発売当時は、「写ルンです」という読み方を知らず、「しゃるんです」と読んでいた方も少なくないようですが、正式な読み方は「うつるんです」です。

値段とスペック

現在の定価は税込1,500〜1,800円前後(27枚撮りの標準モデル)で、フラッシュ付きモデルがメインです。別途、現像・データ化費用として1,000〜2,000円程度かかるため、総費用は2,500〜4,000円が目安です。

どこで買える?

カメラのキタムラ、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの家電・カメラ量販店はもちろん、ドンキホーテ、ロフト、東急ハンズ、一部のコンビニ(ファミリーマート等)でも取り扱いがあります。

Amazon楽天でも購入可能ですが、定価より高い出品もあるため注意が必要です。

なぜ今、「写ルンです」が売れているのか

次に、なぜ今、「写ルンです」に再ブームが訪れているのか、を確認しましょう。

最初に流行った時期は? 1986年から2000年代まで

「写ルンです」が最初のブームを迎えたのは、バブル経済の余波が残る1986〜1990年代です。「気軽に持ち歩けるカメラ」としてレジャーや旅行の定番となり、ピーク時には年間数千万個が出荷されました。

その後、デジタルカメラの普及と2000年代後半のスマホの登場で需要は激減。しかし完全には消えず、富士フイルムは細々と製造を続けていました。

再ブームの背景。なぜ2020年代に復活したか

再ブームの火付け役として広く語られるのは、Z世代(1990年代後半〜2000年代生まれ)フィルムカメラへの関心です。彼女・彼らにとって「写ルンです」は「レトロでオシャレ」なアイテムであり、フィルム写真特有の粒子感や色味がSNS映えとして再評価されました。

ここに、スマホ写真への反動という心理が重なります。毎日何十枚も撮っては忘れる、アルバムが埋まるのに見返すことはない————。

そんな「デジタル疲れ」を感じる世代が、「撮れる枚数が限られている」「現像まで結果がわからない」という制約の中に、逆説的な豊かさを見出したのです。

フィルム写真の魅力が再評価されている

粒状感のある質感、わずかなブレ、周辺減光(画面の端が暗くなる現象)————デジタルなら「失敗」とされるこれらの特性が、フィルムでは「味」として機能します。

また、27枚という制約は「このシャッターを切る価値があるか」という選択を強制します。何千枚撮っても「残せた気がしない」のに対して、27枚撮り切ったときの「全部撮った」という達成感は、質より量のデジタル時代に失われた感覚です。

「写ルンです」と「チェキ」の違い

同じ「フィルムのアナログ感」を楽しむものとして「チェキ」も人気ですが、写ルンですとは、用途体験が異なります。

その場で渡したい・その場で盛り上がりたい」なら「チェキ」、「あとで現像してじっくり楽しみたい旅行の記録として残したい」なら「写ルンです」、という棲み分けができています。

スマホ転送はできる? 現像後のデジタル活用

近年、フィルムで撮ってスマホでも見たい、というニーズが高まっています。

方法は大きく2つあります。
現像とデータ化を同時に依頼する方法と、現像済みのプリントをスマホのフィルムスキャンアプリで読み込む方法です。

カメラのキタムラや富士フイルムの「カメラのキタムラ ネット注文」では、現像と同時にデータをCD-ROMやデータダウンロード形式で受け取れます。近年はスマホ転送サービスも増えており、「プリントアウト不要・データのみ」という依頼も可能です。

フィルム写真の質感をデジタルで保ちながらSNSにも投稿できる

————これがZ世代に写ルンですが支持される大きな理由のひとつです。

アナログとデジタルの「いいとこ取り」ができる時代になったからこそ、フィルムの魅力が再評価されているのでしょう

MeClass世代(アラフィフ世代)が写ルンですに触れ直す理由とは?

Z世代は「写ルンです」を「今まで知らなかったレトロな商品」として発見していますが、40〜50代にとっては「懐かしいもの」でしょう。

子どもの頃に感じた、現像に出して受け取る封筒を開けるときのドキドキ。ピンボケした写真も含めて、全部プリントされて帰ってきた無駄のなさ……など、使っていると、どこか懐かしい気持ちになる、という理由で、「写ルンです」を購入する人も少なくありません。

写ルンですの活用アイデア。撮り方のコツは?

次に、具体的に「写ルンです」を活用するアイデアをご紹介します。

「写ルンです」をもっと楽しむ撮り方のコツ

「写ルンです」はオートフォーカスも手ブレ補正もありません

制約がある分、知っておくと仕上がりが変わるポイントがあります。

まず、フラッシュは積極的に使うことが大切です。屋内・曇天・夕方は迷わずフラッシュをオンにしてください。フラッシュなしの屋内撮影はほぼ間違いなくブレます。

逆に、フラッシュ有効距離(1〜3m)を超えた被写体(夜景・花火)は写らないと割り切りましょう。

被写体には近づきすぎないこともポイントです。最短撮影距離は1m程度のため、それより近いとピントが合いません。「ちょっと遠いかな」くらいの距離感がちょうどいいです。

そして逆光を恐れないことも重要でしょう。スマホなら「失敗」とされる逆光写真も、フィルムでは光がハレーションして独特の雰囲気を生みます。人物を窓や光の前に立たせて撮ると、フィルムらしい「眩しい記憶」のような1枚になります。

よくある疑問Q&A

最後に、よくある疑問にお答えしていきます。

現像はどこに出せばいいですか?

カメラのキタムラ、ヨドバシカメラのカメラ売り場、写真専門店での受付が一般的です。郵送で受け付けているオンラインサービス(カメラのキタムラのネット注文、FILM CAMERA TOKYOなど)も増えており、近くに店舗がない方でも対応できます。データ化込みのサービスを選ぶと、後でスマホからも見やすくなります。

期限切れの「写ルンです」は使えますか?

フィルムには有効期限があり、期限切れのものは色味がズレたり粒子が粗くなります。これを「劣化」とみるか「味」とみるかは人それぞれですが、初めて使う方は有効期限内のものを選んだ方が意図した仕上がりに近くなります。

1本使い切らないと現像できませんか?

使い切らなくても現像に出せますが、撮影済みのコマ数分だけ料金がかかります。途中で現像に出して、残りのフィルムを後日再使用することは構造上できないため、基本的には1本撮り切ってから出すことをおすすめします。

まとめ:「写ルンです」は、厳選することの楽しさを教えてくれる

「写ルンです」が再ブームを迎えているのは、単なるレトロブームでも懐古趣味でもありません。「撮りすぎて何も残らない」感覚への、静かな処方箋として機能しているのだと思います。

27枚という制約は不便ですが、その不便さが「これを撮る価値があるか」という問いを生みます。スマホがあれば全部撮れる時代だからこそ、「あえて制限を課す」ことの豊かさを、「写ルンです」は教えてくれるのです。

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