「俳句を始めてみたいけれど、何から手をつければいいかわからない」「難しそう」と踏み出せない人もいるでしょう。
しかし、俳句は基本を押さえておけば老若男女を問わず誰でも楽しめる文学です。初心者向けの始め方もいろいろな方法があり、状況によって選べます。
この記事では俳句の基本から始め方まで、初心者がつまずきやすいポイントを解説します。
俳句の基本を押さえておく
俳句を作る前に、まずは基本を知っておきましょう。俳句の基本やルール、注意点を紹介します。
俳句とは
俳句は5・7・5の17音と季語からなる日本の短詩型文学です。世界で最も短い定型詩ともいわれています。
俳句は実は座の文学。一人で作ったとしても、句会で発表するのが基本です。江戸時代の俳人といえば「松尾芭蕉」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。芭蕉も弟子たちと、各地で句会を開いていました。
句会では匿名で俳句だけを出し、出席者が選び合い選評をします。ベテランも初心者も、句会ではフェアである点が特徴だといえるでしょう。選評し合う中で、お互いのスキルアップをしていける点がメリットです。句会の人数は数人から数十人と規模もいろいろあります。
俳句の二大ルール「有季定型」とは
俳句には、守るべき基本ルールが2点あります。
ひとつは「定型」、すなわち5・7・5の音数を守ること。もうひとつは「季語」を1句に必ず1つ入れることです。この2点をあわせて「有季定型」と呼びます。一見するとルールが多いように感じますが、この制約こそが俳句の世界を豊かにしているのです。
季語とは、季節を表す言葉で、『歳時記(さいじき)』という専門書にまとめられています。「桜」や「雪」のようなわかりやすいものだけでなく、「春暁(しゅんぎょう):春の明け方」「蝉時雨(せみしぐれ):たくさんのセミが盛んに鳴いている状態」「冬晴(ふゆばれ):冬の晴れた日和」など、数千に及ぶ言葉と解説が登録されています。
持ち運びに便利な「季寄せ」というコンパクトな書籍もあります。歳時記も季寄せも本屋さんにあるのでチェックしてみてくださいね。
・「合本俳句歳時記 第五版」角川書店 [ノンフィクション] – KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/321807000028/
・「新版 角川季寄せ」角川書店 [辞書・事典] – KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322305001119/
初心者がつまずきやすい2つの基本ルール
俳句を始めたばかりの方がつまずきやすいポイントとして、次の2点があります。
- 音の数え方
- 季重なり
音の数え方
まず多くの人が戸惑うのが「音の数え方」です。「促音」である小さな「っ」と「拗音」である「ょ」「ゃ」「ゅ」の数え方を確認しておきましょう。
「バッタ」は「バ・ッ・タ」と3音で数えます。俳句の例で見てみましょう。次の俳句は俳人「石田波郷(いしだはきょう)」の作品です。
「立春の 米こぼれをり 葛西橋」
読み方は「りっしゅんの こめこぼれをり かさいばし」となり、「りっしゅん」で4音と数えるとわかります。
例えば「蝶(ちょう)」なら「ちょ・う」の2音となります。拗音も実際の俳句で確認してみましょう。俳人「中村草田男(なかむらくさたお)」の作品です。
「とらへたる 蝶の足がきの にほひかな」
この俳句は「とらえたる ちょうのあがきの においかな」と読み、蝶は2音で数えているとわかります。自分で俳句を作って混乱した場合は、声を出して読みながら指で数えると明確になります。
季重なり
次に注意したいのが「季重なり」です。1句の中に季語が2つ以上入ってしまうことを指し、一般的には避けるべきとされています。
例えば「桜」と「桃」など同じ春の季語を入れてしまうのはNGです。さらに「夏の海」と「冬の海」のように、異なる季節の季語を混在させるのも避けましょう。季重なりにならないためには、歳時記や季寄せでよく確認することが大切です。俳句教室などでは、指導者が指摘してくれます。
俳句の中にはスタイルにとらわれない「無季自由律俳句」もあります。季語は入れなくてよく、5・7・5である必要もありません。無季自由律俳句の提唱者は俳人の「河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)」です。種田山頭火(たねださんとうか)、尾崎放哉(おざきほうさい)も無季自由律俳句の俳人として有名です。
次の俳句を耳にしたことのある方もいるのではないでしょうか。
「分け入っても分け入っても 青い山」 種田山頭火
「せきをしてもひとり」 尾崎放哉
力強く魅力的な俳句です。もちろん無季自由律俳句を作ってもいいのですが、初心者はまず有季定型からのスタートをおすすめします。自由に作るためには、まず基本を知っておくことが必要だからです。
「初心者向け」俳句の始め方4選

俳句の基本を頭に入れたら、次は実際に作ってみましょう。
俳句始め方として、アプリ・通信オンライン講座・対面教室、さらに通信と対面を選べるカルチャーセンターで学ぶ4つの方法があります。もっと深めたい方は、結社に入るのもおすすめです。自分のライフスタイルや、学習スタイルに合わせて選んでみてください。
独学向け「SNSやスマホアプリで気軽に俳句を作る」
独学でスタートしたい方におすすめなのが、スマートフォンアプリです。また時間や場所を選ばず俳句に親しみたい方にもおすすめです。ここでは3種類のアプリを紹介します。
「俳句てふてふ」
SNS投句型の代表格は「俳句てふてふ」です。他のユーザーから「いいね」やコメントをもらえるSNS機能があります。孤独になりがちな独学をゲーム感覚で続けられるのが強みです。約2,300の季語に解説と例句が収録された簡易歳時記機能を内蔵しており、初心者でも季語を探しながら投句できます。
プレミアム会員(月額980円・税込)になると、著名俳人による選句サービスや、添削教室機能も利用できます。俳句コンテストへの投句も可能です。iOS・Androidどちらも対応していて、ダウンロード自体は無料です。
・俳句てふてふ公式サイト
https://tehutehu.com/
「五七五オンライン」
俳句作りを他の人と楽しみたい方には「五七五オンライン」もおすすめです。オンラインでマッチングした相手と、上の句・中の句・下の句を交互に詠み合うゲーム形式で作っていきます。50万ダウンロードを超える人気アプリで、作句の習慣を楽しく身につけたい初心者に向いています。
「俳句手帖」
詠んだ句をきちんと管理したい方には「俳句手帖」が役立ちます。写真とともに句を記録できる「フォト俳句」機能があるのが特徴です。散歩中に感じた情景を句として残す習慣がつきやすい設計だといえます。作品をExcel形式で出力する機能もあり、投句先の管理にも活用できます。投句先の管理はできますが、他の人との交流はできません。
アプリ学習の注意点
アプリ学習は、気軽に始められますが注意点もあります。フィードバックが同好の人からのものが中心になりやすく、専門的な添削を受けにくい点です。
気づかないうちに独りよがりになりがちな点もデメリットだといえます。本格的な上達を目指す場合は、通信講座や教室と組み合わせることを検討してみましょう。
俳句通信講座で着実に力をつける
自宅にいながらプロの添削を受けたい方、忙しくて教室に通う時間が取れない方には、俳句通信講座がおすすめです。自分のペースで進められる上、現役俳人による丁寧な添削指導が受けられる点がメリットといえます。
NHK学園の俳句講座
NHK学園の俳句講座は、1981年の開講以来40年以上の実績を持つ伝統ある講座です。初心者向けには「はじめての俳句」コースがあります。添削を重視した「俳句入門~添削で上達~」コース、さらに上を目指す「俳句倶楽部」もあり、レベルに応じた複数のコースがそろっている点が特徴です。
郵便での通信添削に加えオンライン教室も用意されています。受講生はNHK学園主催の俳句大会にも参加できるので、モチベーションもアップするでしょう。
また、月額1,800円(税込)の定額制オンライン講座(サブスク)「N学俳句plus」もあり、継続的に学びたい方に柔軟な選択肢を提供しています。
俳句団体である現代俳句協会でも、通信添削教室を開催しています。さらにインターネットを使った初心者向け俳句教室もあります。全国どこからでも、海外からも参加可能です。楽しみつつ、基礎から学べます。レベルに応じたコースもあるので、慣れてきたら次の講座に進むのもいいでしょう。
・NHK学園 俳句講座
https://www.n-gaku.jp/life/course/haiku
・NHK学園オンライン俳句教室
https://college.coeteco.jp/s/n-gaku/haiku-course
・学びのご案内 – 現代俳句協会
https://gendaihaiku.gr.jp/create/
俳句教室に通って仲間とともに上達する
より本格的に俳句を学び、句会の空気感も味わいたい方には対面型の俳句教室への参加をおすすめします。句会での批評を通じて、独学では気づきにくい視点を得られるのが大きな強みです。
全国展開している俳句教室として、NHK文化センター(NHKカルチャー)が有名です。東京・青山教室では「超初心者のための俳句入門」など、初心者向け方入門講座を開講しています。
「季語とは何か」「切字の働き」「具体的な描写の仕方」といったテーマを6回で学ぶカリキュラムが組まれているので基礎をしっかり学べます。講師は実力ある現役俳人が担当している点も魅力です。
・NHK文化センター 青山教室(俳句入門)
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1258148.html
通信・対面・オンラインも選べるところで学ぶ「朝日カルチャーセンター」
通信・対面・オンラインを選べるのが朝日カルチャーセンターです。自分のスタイルに合わせて柔軟に学び方を選べます。
通信講座は入会不要で始められる点は魅力です。ベテラン俳人による通信講座が複数用意されており、目指す句風や先生の個性に合わせて選べるのが特徴です。
対面は新宿・横浜・名古屋・大阪(中之島)・川西など全国の教室で展開しています。句会形式で進める実践的な授業スタイルが好評です。体験受講を受け付けている教室も多いので、まず雰囲気を確かめてから選んでみましょう。
本格的に学ぶなら「結社」への入会も視野に入れる

教室や句会を重ねるうちに「もっと深く、継続的に学びたい」と感じたら、俳句結社への入会を検討してみましょう。
結社とは
「結社」とは、一人の主宰(俳人)のもとに会員が集い、句会・結社誌への投句・吟行を通じて研鑽を積む団体です。年会費は1〜3万円程度が一般的で、毎月の結社誌が届く仕組みになっています。
地元に結社の句会があれば、普段はそこで俳句を作りながら指導を受けます。「吟行」といって、仲間と出かけた先で俳句を作るイベントなどを行っているケースもあります。
結社の探し方
結社の探し方としては、角川文化振興財団の俳句専門誌「俳句」や現代俳句協会の「俳句要覧」に多くの結社広告が掲載されています。
気になる結社が見つかったら、見本誌(数百円程度)を取り寄せて句風を確かめましょう。「いいな」「好きだな」と思う俳句が多いところは、ご自分の句風にあっている傾向があります。
結社の選び方
有季定型か無季か、写生句重視かどうかなど、主宰の作風と自分の方向性が合っているかを確認しましょう。自分に合っているところに所属するのが、長く続けるために大切な判断材料です。決められない方は、句会の見学・体験に参加しましょう。ほとんどの結社が見学を受け付けているので、入会前に実際の雰囲気を確かめられます。
・現代俳句協会(結社・句会情報)
https://gendaihaiku.gr.jp/
・公益社団法人 俳人協会
https://www.haijinkyokai.jp/
まとめ
俳句は5・7・5の17音という極めてシンプルな形式の中に、日本の四季折々の季語を入れて作る定型詩です。有季定型の基本を押さえれば誰でも作れます。
手軽なスマートフォンアプリから、じっくり添削を受けられる通信講座、仲間と刺激し合える対面教室など自分に合った方法で始めましょう。俳句は座の文学であり、句会の仲間はベテランも初心者も関係ありません。
5・7・5に心を寄せて俳句作りを始めてみませんか。



